先進国の中でも安定した経済成長・人口増加、住宅需要も拡大
歴史的に移民によって築かれた国であるアメリカは、現在も移民の受け入れには寛容な政策をとっており、家族の統合目的(アメリカ市民と永住権者の最近親者の呼び寄せ)や、高度な技能を有する人材の優先的な受け入れが続いています。米国勢調査局によると、アメリカの人口は2030年に約3億5000万人、2050年には約4億人にまで増加する見通しとなっているほか、生産力や個人消費の拡大を通じて経済成長のエンジンとなる生産年齢人口も、先進国の中では唯一、明確な増加基調が見込まれています。
アメリカでは、チャンスに溢れた魅力的なビジネス環境を求めて人材や富が集積し、それがアメリカ経済の成長に繋がり、さらに世界中から資本を引きつけるという好循環が定着しており、国際通貨基金(IMF)の予測では、2013年に15兆7102億ドルだったアメリカの実質GDPは、2019年には18兆4912億ドルにまで拡大。また、英銀大手のHSBCが公表した長期経済予測レポート「World in 2050」では、2050年のアメリカの実質GDPは、22兆2700億ドルにまで達する見通しとなっています。

アメリカでは自然増と移民の流入によって、年間250万人~300万人程度のペースで恒常的に人口が増加しており、住宅需要も安定的に拡大基調が続いていますが、住宅着工件数はリーマン・ショック後の落ち込みを除くと概ね150万件前後で推移しています。つまり、アメリカでは人口動態に合わせた、健全な水準での住宅供給が行われており、日本のように長期に渡って人口の増加を上回るペースで新たな住宅が建設され、人口が減少し始めている現在でも、年間100万戸程度の住宅着工が続いているのとは対照的に、住宅価格も上昇しやすい環境が広がっているのです。
過去40年以上に渡って年平均4%程度の安定した上昇を続けているアメリカの住宅価格は、リーマン・ショックの影響で一時的に価格が下落した時期はあったものの、足元では再び上昇基調を取り戻しており、今後も経済成長や人口増加と共に順調な歩みを続けていくことが見込まれています。また、住宅空室率も半世紀以上に渡って5~8%程度で安定的な推移が続いており、ITバブルの崩壊や同時多発テロ、リーマン・ショックといった深刻な危機の最中でも10%をわずかに超える程度にとどまっています。

更にアメリカは日本とは異なり、20代、30代、40代といった若い世代を中心とした人口の増加基調が継続する見通しとなっているほか、若年層は住宅購入よりも賃貸住宅を選ぶ傾向にあり、持ち家比率も低下しているため、賃貸需要が増加傾向にあります。同時に賃料の上昇傾向も続いており、特にアメリカの大都市圏は東京23区より空室リスクが低く、安定的にインカムゲインを積み上げていくことができる市場と言える上、旺盛な賃貸住宅需要は集合住宅など投資物件の資産価値にも好影響を与えています。

流動性の高い世界有数の不動産市場
日本では築年数の古い木造住宅は価格が下落しやすいため、節税にはなっても資産価値そのものが毀損してしまうという本末転倒なことが起きやすいものの、アメリカでは流通市場の約8割を中古物件(日本は1割強)が占め、中古物件の公示から成約までの平均日数も日本よりも大幅に短いなど、中古不動産を売買する文化が根付き、中古住宅市場が非常に成熟。取引件数の多さが中古住宅価格を支えている中、日本のように中古だからというだけで値下がりするようなことはなく、たとえ築数十年が経過した物件であっても、ロケーションが良く、きちんとメンテナンスされた物件であれば、新築物件と同様に値上がりすることは珍しくありません。
日本では、実質的に「住宅=耐久消費財」のように扱われているなど、年数の経過によって資産価値が低下しやすい環境となっていますが、アメリカでは「住宅=資産」との考えが浸透しており、日常的なメンテナンスやバリューアップのためのリノベーションといった、資産価値向上のための努力を惜しみません。
アメリカは住宅が長期にわたり価値を持ち続ける不動産市場となっており、節税目的だけではなく、インカムゲイン、キャピタルゲイン目的にも適した安定した不動産投資先と言えるでしょう。

世界屈指の透明性の高さを誇る不動産市場
市場の透明性が非常に高く、投資インフラも充実している、世界最大の不動産市場が広がる「アメリカ」。外国人に対する不動産投資規制がほとんどなく、外国人でも土地の所有権を持つことが原則可能となっているなど、自由かつ公正な市場の形成は、世界各国の投資マネーを引きつける要因のひとつとなっています。
アメリカの不動産市場の透明性を担保している制度のひとつが、取引を安全かつ公正に行うための第三者委託システムである「エスクロー」制度であり、買主と売主の間に、州政府から不動産の証書受託業務に携わることを許された公正中立な民間の第三者機関(エスクロー会社)が介在することで、買主・売主双方の権益が公平な立場で保護されるようになっています。具体的には、譲渡手続きが完了するまで、買主は売買代金、売主は譲渡証書をエスクロー会社に預託し、登記が完了した時点でエスクロー会社から買主に譲渡証書、売主に売買代金が渡る仕組みとなっており、物件の瑕疵調査、不動産取引にかかる税金の計算や経費の精算など、その役割は多岐に渡ります。

また、アメリカにはMLS(Multiple Listing Service)という、日本のREINS(レインズ)に似た不動産物件情報提供システムがあるものの、日本のレインズとは異なり、基本的に売り物件の全ての情報が登録され、情報はオープンとなっており、同じ物件をどの不動産会社も取扱い可能であるため、取引の透明性は高く、不動産購入者の権利も守られた不動産市場となっています。 

アメリカの注目エリア

ニューヨーク
世界経済をけん引し、金融、商業、文化など様々な面で世界の中心となっているアメリカ最大の都市「ニューヨーク」。世界中から様々なヒト・モノ・文化などが集まる、活気に満ちたエキサイティングな街であり、人口は約849万人(2014年)と市単位で全米一、広域都市圏の人口でも全米最大の2200万人超を誇ります。
世界屈指の金融街「ウォール街」があるように、国際金融センターとしても知られるほか、国内外の大企業も数多く本社や主要拠点を設置しており、ニューヨーク経済の中枢「マンハッタン」などには、多国籍なコミュニティーが広がっています。また、ニューヨークは国内最大の学術都市としての顔も持ち合わせており、市内には数多くの有名大学のキャンパスがあります。
世界経済の中心であるニューヨークの不動産は、常に世界中から注目を集めるなど、流入する投資資金が不動産市場を力強く支えており、資産価値の上昇が期待できるのはもちろんのこと、世界中から集まる外国人駐在員や留学生などの流入が活発で人口の増加基調も継続しており、賃貸需要も非常に高く、マンハッタンを筆頭に空室率が極めて低いため、安定したインカムゲインが見込めます。

カリフォルニア
全米最多の約3800万人が生活するアメリカ西海岸の州「カリフォルニア」は、“住んでみたい州”として米国内で最も人気があります。カリフォルニア州の州内総生産は約2.3兆ドル(2014年・同州財務局)と、国レベルではイタリアを上回る世界第8位に相当する規模であるなど、大国に匹敵する経済力を誇っています。

ロサンゼルス
カリフォルニア州最大の都市であり、ニューヨークに次ぐアメリカ第二の都市でもある「ロサンゼルス」は、温暖で暮らしやすい気候が広がる富裕層に人気のエリアです。“映画の都”と称されるハリウッドがあるのもロサンゼルスであり、数多くのセレブや映画スターが生活している「ビバリーヒルズ」は、世界で最も有名な高級住宅街となっています。
ロサンゼルスの広域都市圏は、東京、ニューヨークに次ぐ世界第3位の経済規模を有しています。また、人口増加率では直近数十年、ニューヨーク広域都市圏を上回るなど、人口流入を追い風に経済成長を続けており、比例するように住宅需要も拡大しています。

サンフランシスコ
カリフォルニア州中西部の「サンフランシスコ」は、ハイテク産業が集積地する「シリコンバレー」と呼ばれるエリアがあることで知られ、サンフランシスコ湾の南部一帯には、アップルやグーグル、フェイスブックなど、数多くの世界的なハイテク企業が本社を構えています。
サンフランシスコではシリコンバレーで働く人々の増加が住宅需要を後押ししており、米不動産情報サイト「Zumper」の調査(2017年6月)によると、サンフランシスコの家賃相場はニューヨークを上回る全米No.1の高さに達しています。また、サンフランシスコは建物の高さ制限や環境規制などが厳しいことで知られており、新規の物件供給が限られていることも物件価格や賃料の高騰に繋がっています。